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          <dc:title xml:lang="ja">日本及び西洋料理における'だし'に関する研究</dc:title>
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          <datacite:description xml:lang="ja">'だし'は、動植物性食品の呈味成分を水に溶出させた液体で、和洋中の各種料理では、料理やその食材に甘味、酸味、塩味、苦味及びうま味を付与し、食べ物の味を向上させる目的で使用されている。特に、'だし'は、各種の汁物やスープ類の調理に欠かすことができないものであり、'だし'の品質が料理の味の質を決定するといっても過言ではない。    'だし'の調製に使用される素材は、それぞれの地域の食文化や食習慣の違いがあるため多種多様である。日本料理で使用される'だし'の素材としては、昆布とかつお節が最も多く用いられ、昆布に含まれるGluとカツオ節に含まれるIMPが'だし'の主要な呈味成分である。京都の高級料亭では、主に利尻昆布が'だし'の調製に使われている。また、昆布だしの調理温度と加熱時間の違いによる'だし'中のGlu濃度変動について検討し、これらの結果をもとに利尻昆布を60℃で1時間加熱するという新しい調理方法を取り入れている。これらの調理方法に関する知見のほとんどが、料理人の経験にもとづくものであり、科学的解析はほとんどなされていない。    一方、西洋料理の代表的な'だし'であるブイヨンは、新鮮な牛肉や鶏肉、玉ねぎ、人参、セロリ等の香りのある香味野菜や香辛料を加えて、水から長時間煮込んで調理する。また、品質の良い'だし'を作るためには、素材の違いだけではなく、'だし'を調製する時の加熱温度や加熱時間が極めて重要である。これらは、いずれも長年の経験から確立されたものである。これまでのブイヨンに関する研究は、調理に使われる鶏肉、鶏ガラや牛肉に着目し、各種呈味成分の抽出性や肉の部位の違いによる味への影響を調べたものが多く、シェフが通常行っている調理条件で解析した研究はほとんどないのが現状である。    そこで、本論文では、日本及び西洋料理の代表的な'だし'として、昆布だしとブイヨンを取り上げ、昆布の等級及び部位の違いが各種呈味成分に与える影響、異なる温度条件がブイヨンの呈味成分に及ぼす影響、ならびに加熱に伴う成分変動のメカニズムを解明することを目的に、以下の実験を行った。    1.昆布の等級及び部位の相違と昆布だし中の呈味成分との関連性    昆布は生育する環境、すなわち海水温や海流によって食品としての品質が左右され、同じ年に収穫した昆布でも取れ浜や漁場によって、その品質が異なることが知られている。本研究では、京都の高級料亭で使用されている天然1等利尻昆布と対照として養殖3等及び4等利尻昆布を用い、昆布だしの品質を決定する遊離アミノ酸、糖アルコール(マンニット)及び無機塩類を、また、昆布だしの品質に関与すると考えられる乾燥昆布の膨張率、昆布だしのBrix及びpHを検討した。材料に用いた昆布は天然物(1等)及び養殖物(3等、4等)ともに、平成16年7月に収穫された利尻昆布で、入蔵後6ヶ月を経過したものについて、昆布全長(葉先から根元まで)を三等分し、先端、中央、根の3部位に分け、それぞれを縦に二等分したものの重量を測り、昆布の割合が水に対して3%(w/v)になるよう調整し、60℃で1時間加熱後昆布を取り出したものを昆布だしとし各種分析を行った。いずれの昆布だしにおいても主要な遊離アミノ酸はGluとAspであった。昆布だし中のGlu濃度は、等級による差は認められず、1,3,4等の昆布で、それぞれ56.0、63.5、53.6mg/100mlであった。また、同じ昆布では、葉先よりも根のほうが濃度が高かった。    一方、Aspは、1等昆布で濃度が高く、1、3、4等の昆布で、それぞれ56.0、24.1、24.3mg/100mlであり、1等昆布では3、4等に比べ、Gluに対するAspの比率が高い傾向にあった。部位別では、Asp濃度は、Gluと同様に、根の方で高かった。無機イオンではNaとKが主要なものであった。Na濃度は、等級間で差は認められなかったが、先端での濃度は、中央部や根よりも高かった。1等の先端、中央部、根での濃度は、それぞれ50.0、48.1、48.0mg/100m1であった。また、K濃度は、1等昆布で低い傾向にあり、1等、3等、4等で、それぞれ53.8、89.2、75.9mg/100mlであった。    1等昆布の'だし'のマンニット濃度及びBrixは他のものより低い値を示した。また、1等昆布のpHは他のものより高い値を示した。    膨張率は等級が高いほど低く、等級の低い昆布では、加熱中に大きく膨張することによって、昆布の切断面から粘性多糖類であるアルギン酸やフコイダンが'だし'中に溶出し、呈味性を変化させ、'だし'の品質を損ねる可能性があると思われる。    天然1等利尻昆布を、入蔵後2年間一定条件下の蔵で保存したものは「蔵囲い昆布」として、昆布市場では最高級品とされている。そこで、2年間の保存によって呈味や品質に関与する各種成分が変動するかどうかについて検討した。その結果、各種呈味成分、Brix、pH並びに膨張率は、2年間の保存期間を経過しても変動しなかった。蔵の環境は年間を通じて5～25℃、湿度は50～65%に保たれており、このような環境下であれば、昆布は極めて保存安定性が良いことが明かとなった。    2.ブイヨンの調理条件の違いが呈味成分に及ぼす影響    西洋料理の代表的な'だし'であるブイヨンを異なる温度で調理したとき、各ブイヨン中の遊離アミノ酸、有機酸、糖、無機イオンを測定し、加熱温度の違いがブイヨンの呈味成分に及ぼす影響を調べた。ブイヨン調製のための最適加熱温度が95℃(適温)であることを確認したうえで、この温度よりも高い98℃(高温)、より低い温度80℃(低温)でブイヨン調製を行った。冷水に牛肉、鶏肉を投入し強火で25分間加熱し沸騰させ、灰汁を除去した。次に、野菜を投入し、再び加熱し設定温度に到達した時点を加熱0時間とし、適温と低温は加熱5時間まで、高温は加熱2時間までの1時間ごとに、ブイヨンを取り出し、呈味成分の変動を調べた。適温、高温、低温のいずれのブイヨンにおいてもGluの抽出量が最も高く、適温及び低温5時間で2164及び2013mg,高温2時間で2164mgで、いずれの温度においても全遊離アミノ酸の約20%を占めた。次いで、Ala、Arg、Ser、Lysの順に抽出量が多かった。各ブイヨン中のIMPとGluの濃度から算出したうま味強度(IMPをGluに置き換えたと想定し算出した各ブイヨン中のGlu濃度)は、0.07(低温)、0.13(適温)、0.11(高温)であり、適温調理が最もうま味が強いことが確認された。    有機酸は、いずれの温度においても乳酸の抽出量が最も多かったが、温度による抽出量の差は見られなかった。各種呈味成分において最も抽出量が多かったのは糖類であったが、温度の違いによる抽出量の差は認められなかった。無機イオンではKの抽出量が最も多かった。    各加熱温度で調製したブイヨンの加熱1時間ごとのサンプルについて、ブイヨン調理に関わったシェフによる味の評価結果では、低温、適温、高温でそれぞれ4,2,1時間後にうま味が感じられたが、高温ではうま味とともに苦味、酸味も感じられた。適温では加熱3時間以降、うま味に加えて厚みやまろやかさが感じられたが、低温では5時間においても厚みやまろやかさは感じられなかった。加熱温度による各種呈味成分の抽出量に差はみられなかったが、加熱温度の違いによる液体の蒸発量の違いが、ブイヨンの味に影響を与えていること、更に、シェフによる味の評価においてうま味に加えて、厚み、まろやかさがブイヨンの仕上がりの判断の要素となっていることが示唆された。    加熱に伴いGlnのみが減少することが確認されたが、通常のブイヨンの調製方法とは異なる、低温蒸らし調理ではGlnが残存していることを確認した。低温蒸らし調理では鍋中の温度は常に60℃前後に保たれており、Glnの減少は加熱温度が関係している可能性が示唆された。また、PCAは増加していた。PCAは素材中に含まれる成分ではないため、加熱中に抽出されたGlnから形成されると推察された。    3.ブイヨン中に存在するグルタミン(Gln)の加熱による変動    ブイヨンの加熱調理工程において、加熱に伴いGlnが減少すること、そして、この現象は温度に関係していることが見出された。Glnの減少のメカニズムを解明するため、Gln水溶液を異なる温度条件で加熱し、生成される化合物をODSカラムを用いて調べた。1mMGln水溶液(pH6.8)を37～98℃の5つの異なる温度帯で1時間から5時間加熱処理した。37℃及び50℃の加熱では、Glnの減少は認められなかった。70℃以上の加熱により、Glnは経時的に減少した。また、それぞれの加熱条件でのPCAの生成量を調べた結果、Glnの減少量とほぼ同量のPCAが生成されることが判明した。さらに、加熱温度が高くなるにつれて、Gln並びにPCAとは異なる溶出位置に新しい化合物の生成が認められた。この化合物をODSカラムによるHPLCで単離し、物質の同定を行った。構造決定にはLC/MS/MSを用いた。その結果、PCA以外に、分子量258を有する化合物が認められた。MS/MS分析によって、この化合物がジケトピペラジン構造持つ可能性があると推定された。    本研究では日本料理及び西洋料理で使われる代表的な'だし'として、昆布だし及びブイヨンを取り上げた。前者では、最良の品質を有する利尻昆布の特徴を明らかにすることができた。ブイヨンにおいては、最適条件で調理したブイヨンの呈味成分に関する特徴と加熱により変動するグルタミン誘導体の生成メカニズムを推察した。    これらの成果は、より調理の実践に近いプロの料理人の知識や調理工程を科学的に解明すること、さらに調理法の発展や高品質の食品を提供することに資することができたと言えよう。</datacite:description>
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            <jpcoar:relatedTitle>異なる温度下で調理したブイヨン中の遊離アミノ酸の変動, 日本家政学会誌 61(12), 765-773, 2010</jpcoar:relatedTitle>
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